まんぼう日記

takataka's diary

宮部みゆき 「鳩笛草」

(2014年12月28日に転載: 旧「まんぼう日記」を発掘 - まんぼう日記 )

 

宮部みゆき 「鳩笛草」 光文社カッパノベルズ 読了

 

「超能力」をテーマとした短篇集。たかたかが下らない感想を書くより、カバーの文句を書いといた方が参考になるでしょう。

 

祖母の死でひとりぼっちになった麻生智子。八歳のとき交通事故で両親を亡くし、同乗していた智子は助かったものの記憶喪失に…。祖母が隠していたビデオを見て、記憶を失くす以前の自分には``ある秘密の能力があった''ことを確信した!そして…。
「朽ちてゆくまで」

 

女子高生の妹が乱暴され、溺死した。復讐を誓う兄の前に現われた女は「私がお役に立ちます」と言って、眼でキャンドルの火をつけた…胸を打つ結末!
「燔祭(はんさい)」

 

城南署捜査課の本田貴子には、人の心を読める透視能力がある。そのことが彼女にある衝撃を…。
「鳩笛草」 

 

このアオリ文句だけ読むとなんか三文アクション小説みたいや。もう一つ…

 

「能力」というものの不思議さと理不尽さは、わたしにはとても興味深いテーマに感じられます。どういう能力でも、それは必ず、便利さや楽しさと背中合わせに、厳しさや辛さを隠し持っているはずだと思います。たとえその能力がいわゆる「超能力」と呼ばれる種類のものであったとしても…。
「著者のことば」より

 

本書に流れているのは、「人間の存在とは何か」「生きていくとはどういうことか」という問いかけやと思います。これは、「燔祭」に登場する念力放火能力者青木淳子の言葉(P.144上左)に良く現れているのではないでしょうか(書きたいけど、これから読む人のために書かないでおきます。このあとは御自分で)。